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交通まちづくりと交通シミュレーションの技術をご紹介します

効果的な活用例Examples

8.地区交通計画への適用

地区交通計画と交通シミュレーション

  • 主に、幹線道路計画やバス・LRTなどの公共交通計画を検討する都市交通計画に対して、主に、補助幹線道路や区画道路、歩行者専用道路の計画を検討するのが地区交通計画です。
    交通結節点に分類される駅前広場も、その機能に応じて、都市交通計画や地区交通計画のいずれかで取り扱われることもあります。
  • 地区交通計画には、道路の位置や種別・規模を検討する道路網計画の他、歩行者モール化等道路運用の計画・評価、駅前広場や周辺道路を効率的・効果的に運用するための計画などが含まれます。
  • いずれの場合にも、住民の利用が主体で、計画が住民の身近な生活環境に強い影響を及ぼすので、住民と協働して計画を検討することが望ましいとされます。
    そして、住民との協働において、平易な言葉使いや資料作りに配慮するなど、住民との相互理解の醸成に努めることが重要です。
  • 複雑な交通現象をアニメーションで表現できる交通シミュレーションは、複雑な交通現象に対する住民の理解を助けるツールとして優れた特性を持っています。
  • しかし、現状では、時間や費用などのコストが制約となって、住民と協働で進める地区交通計画のツールとしては、あまり活用されていません。
  • そこで、今回はコスト低減のアイデアを織り交ぜながら、交通シミュレーションを地区交通計画で有効活用する方法を紹介します。

データ収集におけるコスト節減の工夫

  • データ収集は、交通シミュレーションの中でも最も時間や費用を要する部分です。ここでは、交通量に絞ってコスト抑制のアイデアを紹介します。
  • 通常の交通量調査では、ピーク時間や日単位の交通量の収集が目的ですから、1時間ピッチで12時間調査をするのが一般的です。
  • 一方、交通シミュレーションでは、ピーク時間帯に着目し、短時間の交通量変動による影響を考慮するので、ピークに絞って、もう少し細かいピッチでデータが必要です。弊社では、ピーク1〜3時間を対象に、通常10分ピッチのデータを使うことが多いようです。
  • 1〜3時間の調査であれば交代要員も不要で調査員数及び実働時間は減り調査費が節減できます。
  • ただ、固定費や人件費の割増などの影響で、実働時間に比例してコストが減るわけではありませんし、実働時間が短く給与が低いと調査員を集めにくいという問題もあります。
  • 信号周期や現示の調査、道路構造調査などと組み合わせて一定の実働時間にまとめる工夫や、調査日を分散させて1日当たりの要員数を減らし、近隣の調査員を手当てする工夫も効果的です。
  • また、地元の住民や事業者の協力を得るのも効果的です。調査を通じて、地区交通に対する理解が深まるだけでなく、協働の機運の盛り上がりと報道によるPRの相乗効果も期待できます。
  • この他、既存調査の結果に基づく推計値やサンプリング調査で調査項目の一部を代替しする工夫も、調査規模を縮小調査コストを節減するのに効果的です。

現況再現は協働の出発点

  • 現況再現とは、交通シミュレーションに現況の条件を与えた時に、交通現象が再現できるように、パラメータ等を調整する作業のことです。
  • 現況再現は、交通シミュレーションという作品を作る舞台裏です。料理に例えると、調理場のようなものです。見せても困らない、むしろ見て欲しいものなら、オープンキッチンにして、材料(データ)や調理法(調整法)を公開する方が、客(参加者)も安心し、共感(理解&合意)を得やすくなると、弊社では考えます。
  • 論理的に説明して理解してもらうのはとても難しいことですが、現況再現の舞台裏を見てもらえば簡単です。弊社が経験の中から具体例を紹介します。


    ◆ 後方の信号が近接し滞留スペースが不足する場合や、右折レーンの延長が不足する場合、一瞬の需要超過によって渋滞が一気に延伸する場合があります。交差点需要率や混雑度を使って説明するのは難しい事象ですが、現況再現に立ち会ってもらって、アニメーションをコマ送りしながら見てもらえばすぐ理解してもらえます。

    ◆ 歩行者や自転車、縦断勾配など、モデルで考慮しなかった要因の影響が大きく、現況再現がうまくできない場合があります。こうした影響を定量化し説明するのはとても難しいことですが、現況再現に立ち会って調整前後を比較してもらえば、影響の大きさや対策の必要性を感覚的に理解してもらえます。

    ◆ 短時間の需要超過による渋滞や先詰まりによる渋滞など、複雑な交通現象を説明するのは難しいですが、現況再現のアニメーションなら、巻き戻しやコマ送りなどを使って現象の時間的な推移を見てもらったり、画面をスクロールさせて現象の変化が空間上を遷移する様子をみてもらったりすることが、リクエストに応じて何度でもできます。

    ◆ 将来予測の方法論の合理性を説明し、理解してもらうのは難しいことですが、交通シミュレーションを使って現況再現する様子を見てもらえば、モデルの再現性は理解してもらえます。あとは現況から将来へ、条件の変更点を納得してもらえば、難しい説明抜きで予測結果を受け入れてもらえます。

    ◆ 施設規模を決定するのに、需給バランスの基準とする交通容量の説明を求められる場合があります。何の影響も加味しない基本交通容量なら標準値があるのでそれを適用すれば説明は不要ですが、実際には、信号、合流、踏切などの影響を無視するわけにはいきません。しかし、様々な影響を加味して交通容量を設定するのは難しいので、計画施設に合わせて便宜的に設定することが多いようです。そのため、説明を求められても、納得してもらえる説明など、望むべくもありません。これに対して、交通シミュレーションを使えば、交通容量の仮定は不要です。

    ◆ 現況再現に立ち会ってもらい、信号、合流、踏切等における複雑な交通現象の再現性を確認してもらうだけで、モデルの性能を理解してもらえます。

  • 以上紹介した事例からも、地区交通計画に交通シミュレーションを適用し、現況再現を協働の出発点としてオープンにすれば、住民の地区交通に対する理解や、問題の構造と対策の必要性に対する相互理解を深めるのに有効であることを理解していただけると思います。 交通シミュレーションが、協働による交通まちづくりの一助になれば幸いです。
     
     
     



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