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交通まちづくりと交通シミュレーションの技術をご紹介します

再現可能な交通現象の例Examples

7.公共交通の再現とLRT導入効果の予測

  • 路面電車は、自動車と比較すると輸送効率が高く、エコな交通システムと言われます。
  • しかし、かつては、のろまな乗り物として軌道が次々と廃止されていった時期がありました。
  • 今回は、交通シミュレーションを使って、バスの動きを再現し、LRTの導入効果を検証します。

路線バスの運行再現

  • バスは、一定のダイヤに従って決まったルートを運行します。利用者が乗降する停留所もあらかじめ決まっています。
  • 一般車と比べると少し特殊ですが、交通シミュレーターの中には、その運行を忠実に再現する機能を備えたものもあります。
  • もちろん、VISITOKもバス運行の再現機能を備えています。

    VISITOKによる路線バス運行の再現例
  • 下の動画は、路線バスの運行改善の検討用に作成した現況再現シミュレーションです。赤色に着色した大き目の車両が、路線バスです。
  • 路線バスは、ダイヤにしたがって運行し、指定の停留所に停車して客を乗降させるようセットされています。もちろん、乗降客数は、実績値をもとにしています。
  • そして、実際の運行時間が再現できるように、交通シミュレーションモデルのパラメータを調整し、下の現況再現シミュレーションが完成しました。


    ↑画像をクリックすると動画が見れます。


    VISITOKによる路線バス運行の予測事例
  • 現況再現では、バスが遅れる原因である幹線道路の混雑、例えば、画面上から画面左のバスターミナルに入る際の右折待ちの様子が再現されています。
  • また、下はバスターミナルに着目した動画です。バースが空くのを待つ間、到着が遅れるバスの様子が再現されています。
  • こんなミクロな現象にもこだわってバスの運行を忠実に再現するのは、バスが遅れるメカニズムの解明が、効果的な対策の検討に欠かせないと考えるからです。


    ↑画像をクリックすると動画が見れます。

  • 下の動画は、これらの対策の効果を予測したシミュレーションです。バス優先化策の導入やICカードの普及などの対策の実施を想定しています。
  • バスの到着間隔の平準化と降車時間の短縮により、バースの空きを待つ無用な時間も解消され、運行時間の遅れの問題が改善することが確認できます。
  • このように、交通シミュレーションは走行時間だけでなく乗客の乗降に伴う停車時間も対象に分析できます。公共交通の定時性評価のツールとしてうってつけです。


    ↑画像をクリックすると動画が見れます。

         

LRTの導入による道路交通の変化予測

  • LRTを導入した場合の道路交通の変化予測にも、VISITOKの公共交通再現・予測機能を使うことができます。
  • 事例を使って紹介します。紹介するのは、4車線の双方向道路の中央にLRTを導入する下図のケースです。


    対象道路 LRT導入前(現況)


    対象道路 LRT導入後(計画)
                 ※導入前・導入後とも片方向約670mの区間

  • 下の動画は、LRT導入前(現況)の道路交通の状況を交通シミュレーションを使って再現したものです。
  • 信号交差点で渋滞が生じています。そこで、LRTを導入して、渋滞を緩和することを計画しました。

    動画 現況( LRT導入前)再現シミュレーション

    交通量は、片方向1,800台/h 信号は周期120秒 青時間比45%

  • 下の動画は、LRT導入後の状況を予測した交通シミュレーションです。
  • 片方向2→1車線に減少しますが、乗用車1200台がLRTに転換し、600台/hに減少すると仮定しています。
  • すると、渋滞が解消し、導入前の車の速度に比べて、導入後は車、LRTとも速度の向上が期待できます。

    動画 計画(LRT導入後)予測シミュレーション

    ・LRTの輸送量(/h)は、140人(/両)×12本(5分ピッチ)
    ・上記の1680人/1.4人(平均乗車人員)=1200台が、車からLRTに転換


LRT導入効果を評価する視点

  • LRVの輸送効率は、乗用車20台分に相当します。したがって、LRTを導入し車を代替すれば、渋滞緩和が期待できます。

  • しかし、モビリティ向上の恩恵を受けるのは車利用者だけではありません。車からLRT利用に転換した人のモビリティも向上します。
  • なぜなら、LRVが速さでは、車に引けを取らないからです。設計速度は70q/h以上、低床でドアも広いので乗降も短時間で済みます。

    ◆◆◆ストラスブールのLRTで体感◆◆◆

    Video1 車並みの走行性能



    Video2 短い乗降時間

  • これら二つの特長が相まって、都市内のモビリティ改善への貢献が期待されるわけです。LRT導入効果を評価する場合に忘れてはならない視点です。

モビリティ改善効果の事例検証

  • それでは、交通シミュレーションを使って、事例のケースのモビリティ改善効果を検証します。なお、試算では、次の仮定をおきます。

    ・現況の乗用車の交通量は、片方向1800台/hで平均乗車人数は1.4人
    ・LRTは定員(140人)の乗客を乗せて5分ピッチで運行
    ・移動者数は導入前後で増減せず、LRT利用者はすべて乗用車から転換
      移動総数(2520人)⇒乗用車(840人):LRT(1680人)=1/2
  • すると、LRT導入前後における平均移動時間は下表のように推計されます。この表から、LRTの導入による平均移動時間短縮効果を61%と見込めることが分ります。

    表 モビリティ改善効果(平均移動時間:秒)

何故、モビリティ改善効果に着目するのか

  • ビデオをご覧ください。2路線のトラムが交差するストラスブール中心部で撮影したものです。

  • トラムがひっきりなしに行き交い、人があふれるこの場所は、かつて幹線道路の交差点だったところです。
  • 最初のA線建設当時は、車を通行止めにするのに反対した商店も多かったようですが、その後、来街者が増えて賛成に変わったそうです。
  • 雑踏の中をトラムが行き交い、そのトラムに歩行者が吸い込まれている姿は、まさに、「まちの水平エレベータ」の趣です。
  • このように、車にも負けないモビリティの良さが、LRTが支持される所以であり、最も評価すべき点だと考えます。

おわりに

  • パリでは、この10年間、バス専用レーン「モビリアン」の整備、全廃されたトラム(路面電車)の復活、サイクルシェアリングの「ヴェリブ」やカーシェアリング「オートリブ」の整備等がモビリティ改革の名のもとに進められています。
  • 人が移動する場合、目的や経路に応じて交通手段を選択する訳ですから、モビリティ改革でパリの様な多面的な取り組みが必要になるのは当然です。
  • それでは、日本の場合はどうでしょう。交通手段ごとにモビリティ改善の取り組みが進められていますが、パリのような体系的な取り組みには発展しません。
  • そこで、モビリティの改善に着目して整備効果を評価することを提案します。そうすれば、他の交通手段との体系的な整備や連携の必要性にきっと気付くはずです。
  • そして、モビリティ改善効果の評価には、交通シミュレーションを活用をお薦めします。


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